macでインフォマティクス

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HTS (NGS) 関連のインフォマティクス情報についてまとめています。

(ヒト)バリアントの優先順位付けのためのインタラクティブなウェブアプリケーション Gene.iobio

 

 多くの臨床現場で標準治療となることが予想される、包括的なゲノムデータの臨床治療への活用の増加に伴い、診断医学の実践は顕著な変化を遂げつつある。しかし、単一遺伝子またはパネルベースの遺伝子検査からエクソームおよびゲノムシーケンスへの移行は、複雑化または不確実化するゲノム所見を診断医が解釈できるようにするツールの開発と一致していない。本論文では、臨床主導型のバリアント検査と優先順位付けのための、リアルタイムで直感的かつインタラクティブウェブアプリケーションであるgene.iobioを紹介する。gene.iobioは、既存の方法を大幅に改善し、再構築した新規かつ効果的なアプローチである。バリアントやゲノムデータをテキストや表形式で提示する既存の方法とは根本的に異なり、gene.iobioは対話的、直感的、視覚的に駆動される解析環境を提供する。gene.iobioを臨床および研究の場で採用することで、これまで複雑なコマンドラインツールを介してしかアクセスできなかった高度なゲノム解析を用いて、臨床診断の確立と患者ケアへの情報提供の両方のために、臨床ケア提供者が患者のゲノムデータと直接対話できるようになることを実証する。

 

Tutorial

https://gene.iobio.io/tutorial

5つそれぞれYouTubeの動画で説明されている。

 

webサービス

https://gene.iobio.io/にアクセスする。

 

詳しいチュートリルと動画が用意されています。ここでは簡単に機能を確認します。

 

遺伝子名かPhenotypeで検索する。

Gene.iobioはPhenolyzerを統合しており、表現型の語彙を入力すると、その表現型に関連する遺伝子のリストを自動的に生成する。

 

検索結果。該当する遺伝子名やその遺伝子が関係するPhenotypeとDiseaseについて、縦に分割されて表示される。左のPhenotypeでは、関連するHuman Phenotype Ontology: HPOのIDとその語彙が表示される。右のDiseaseでは、疾患の専用のIDとその語彙が表示される。

最新の遺伝子、疾患関連データは、OMIMからをWeb API経由で取得する。

チュートリアルの遺伝子を1つ見てみる。

複数遺伝子が読み込まれているので、左から1つ選ぶ。

SCN8A遺伝子。上のトラックはexon-intronを表す遺伝子モデル、下のトラックはNA12878におけるバリアントとカバレージ

 

バリアントのプロットをクリックすると下のパネルに詳細が表示される。

 

Loadからはクラウド上のVCFを読み込むことができる。

 

詳細はチュートリアルの説明を確認してください。recessive variantsのチェック、アライメントデータからリアルタイムでバリアントを呼び出す手順、転写産物のバリアントに注釈を付ける手順、カバレージが低いため見逃しているかもしれないバリアントの確認手順、表現型駆動の解析手順などが説明されています。

 

論文より

  • オンデマンドのバリアントコールは、CRAM/BAMアライメントファイル用のsamtoolsとバリアントコール用のFreebayesを含むバックエンドサービスによって実行される。
  •  

引用

Gene.iobio: an interactive web tool for versatile, clinically-driven variant interrogation and prioritization
Tonya Di Sera, Matt Velinder, Alistair Ward, Yi Qiao, Stephanie Georges, Chase Miller, Anders Pitman, Will Richards, Aditya Ekawade, David Viskochil, John C. Carey, Laura Pace, Jim Bale, Stacey L. Clardy, Ashley Andrews, Lorenzo Botto & Gabor Marth

Scientific Reports volume 11, Article number: 20307 (2021)

 

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