フラボノイドの生合成は、植物における特殊な代謝と転写制御のモデル系としてよく知られている。フラボノイドは、紫外線防御や花粉媒介者の誘引など多くの生物学的機能を持つだけでなく、バイオテクノロジーの可能性も秘めている。ここでは、フラボノイド生合成の担い手を自動的に同定する手法として、知識ベースの経路酵素同定(KIPEs)を紹介する。KIPEsは、包括的な配列類似性解析と、対象となるペプチド配列中の機能的に関連するアミノ酸残基やドメインの検査を組み合わせたものである。フラボノイド生合成酵素の包括的な配列セットと、機能的に関連するアミノ酸に関する知識を収集した。KIPEsは、薬用植物Croton tigliumのフラボノイド生合成をトランスクリプトームアセンブリに基づいて調査するために適用され、概念の証明となった。その結果、生合成ネットワークの全段階の酵素候補が同定され、クロトン種で報告されている対応する代謝物とマッチングされた。
'Automatic identification of players in the flavonoid biosynthesis with application on the biomedicinal plant Croton tiglium' is published in @Plants_MDPI @MDPIOpenAccesshttps://t.co/RmUdfFvPc3#100DaysOfCode #Python #bioinformatics #plants
— Boas Pucker (@boas_pucker) August 28, 2020
このツールは、ペプチド配列、転写産物配列、またはゲノム配列のコレクションから候補配列を同定することができる。最初のBLAST (BLASTp, tBLASTn) 検索で候補配列を取得し、次にMAFFTによるグローバルアライメントで解析し、保存残基や保存ドメインの存在をスクリーニングする。本ツールは、フラボノイド生合成に関わる遺伝子の同定に応用されている(HPより)。
webサーバ
http://pbb.bot.nat.tu-bs.de/KIPEs/のページ中盤に移動する。
seqtypeを指定し、ペプチド配列、転写産物配列、またはゲノム配列をアップロードする。
Githubより
- KIPEsはフラボノイド生合成の解析に限定されるものではない。KIPEsに新しいパスウェイを追加する事もできる。
- 新しいパスウェイ情報を追加するためには、対象となるパスウェイ/反応と、少なくとも1つの特徴的な配列が記載された論文を探す。目的のパスウェイに関わる全てのステップが分からない場合、それを記述した論文を特定する必要がある。KIPEを使用して新規パスウェイを発見することはできない。パスウェイの各ステップについて、少なくとも1つの特徴的な配列を同定する必要がある(多ければ多いほどよい)。
- KIPEsは、文献やデータベースから得られる情報に基づいている。従って、よく特徴付けられたベイト配列や活性中心で保存されたアミノ酸残基を同定することが極めて重要である。Orhtologsを探すことでこのデータセットを補完することができる。これらの配列は、手動での検査が必要になる。その後、収集した配列の FASTA ファイルを作る。また、可能であれば、保存アミノ酸残基の位置を記述したファイルを構築する。
引用
Automatic Identification of Players in the Flavonoid Biosynthesis with Application on the Biomedicinal Plant Croton tiglium
Boas Pucker, Franziska Reiher, Hanna Marie Schilbert
Plants 2020, 9(9), 1103