生物種を超えてパスウェイや遺伝子が保存されていることから、科学者はヒト以外のモデル生物を用いてヒトの生物学をより深く理解することができるようになった。しかし、マウス、ラット、ゼブラフィッシュのような伝統的なモデル系を使用することは、コストと時間がかかり、ますます倫理的な問題が生じてきているため、より複雑でないモデル生物を探す必要性が浮き彫りになっている。既存のツールは、よく研究されている数少ないモデル系にしか焦点を当てておらず、そのほとんどが複雑な動物である。このような問題に対処するため、本著者らは、ヒトとその種の間のオルソログ関係に基づき、興味のある生物学的プロセスの研究に最適なnon-complex organismをユーザーに提供するソフトウェアとウェブサービス、Orthologous Matrix and Alternative Model Organism (OMAMO)を開発した。OMAMOが提供するアウトプットは、系統的な文献レビューによってサポートされている。
簡単にだけ紹介します。
OMA browser:https://omabrowser.org/oma/omamo/にアクセスする。
GO termを指定して右の小さなボタンをクリック
出力例
出力ページでは、スコアに基づきランク付けされた生物種のリストが表示される。
上下方向のソートアイコンをクリックすることで、オルソログの総数または平均GOベースの機能的類似性に基づいて出力をソートできる。Escherichiaに絞り込むと大腸菌のみ
見つかり、どの株もGO:0006281(DNA repair)の遺伝子を11個ずつしかコードしていない事が分かった。
一方Schizosaccharomycesだと100個以上コードしている。
その他
- 現在OMAMOに存在する50種のうち、31種は単細胞真核生物で、残りはバクテリアとなっている。利用可能な生物学的プロセスGOターム28 923のうち4620に対して、少なくとも1つのモデル生物が提案されている。
引用
OMAMO: orthology-based alternative model organism selection
Alina Nicheperovich , Adrian M Altenhoff , Christophe Dessimoz , Sina Majidian
Bioinformatics, Volume 38, Issue 10, May 2022, Pages 2965–2966