macでインフォマティクス

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HTS (NGS) 関連のインフォマティクス情報についてまとめています。

UCSF ChimeraX内でColabFoldを使う

 

2021年の論文より

UCSF ChimeraX は、UCSF Chimera に続く、Resource for Biocomputing, Visualization, and Informatics (RBVI) による次世代対話型可視化プログラムである。ChimeraXは、(a) パフォーマンスとグラフィックスの大幅な向上、(b) Chimeraで最も利用されているツールの新実装(多くはさらなる改良)、(c) 全く新しい解析機能、(d) バーチャルリアリティ、ライトシート顕微鏡、医療画像データといった新しい分野のサポート、(e) 1クリックで実行できるアイコン付きのツールバー、基本的な「アンドゥ」機能、より論理的かつ一貫したコマンドなど使い勝手が大幅に向上、そして (f) 新しいツールを研究者から提供してもらうアプリストア を備えている。ChimeraXは、完全なユーザーマニュアルを含み、非商用利用は無料になっている。WindowsLinux、およびmacOS用のダウンロードは、https://www.rbvi.ucsf.edu/chimerax から入手できる。

2018年の論文より

UCSF ChimeraXは、分子構造、密度マップ、3D顕微鏡、および関連データの可視化と解析のための次世代ソフトウェアである。ChimeraXは、最先端の実験手法に付随するデータのサイズ、範囲、および異種のデータに対応し、高品質なレンダリングインタラクティブアンビエントオクルージョン、信頼できる分子表面計算など)のための高度なオプション、ソフトウェアの設計と配布に関する専門的なアプローチを提供する。本稿では、可視化とユーザビリティ、パフォーマンス、拡張性の各分野における具体的な進歩について紹介する。ChimeraXは非商用利用で無料、WindowsMacLinux用をhttp://www.rbvi.ucsf.edu/chimerax/ から入手できる。

2007年の論文より

UCSF(wiki)の分子モデリングパッケージChimeraで利用できる密度マップの対話的な可視化と解析の方法について説明する。この方法は、ウイルス粒子、リボソーム、微小管、染色体などの大きな分子集合体の構造を解明するための密度マップの分割、フィッティング、粗いモデリング、測定、色付けを可能にするものである。これらの方法は、電子顕微鏡による単粒子再構成やトモグラフィーの範囲内の解像度を持つ密度マップに適している。これらのツールはいずれもシンプルで堅牢、かつインタラクティブなものであり、数秒で計算が完了する。UCSF Chimera パッケージの利点は、 対話型手法の大規模なコレクションを統合していることである。インタラクティブなツールは,単純な解析を行うには十分であり,より複雑で専門的,かつアルゴリズム的な非インタラクティブ解析ソフトウェアの入力準備や結果の検証にも役立ちます.インタラクティブな解析と非インタラクティブな解析の両方が有用ですが,ここではインタラクティブな手法についてのみ説明します。

 

UCSF Chimera wiki

https://en.wikipedia.org/wiki/UCSF_Chimera

 

UCSF Chimeraは密度マップ、超分子集合体、配列アラインメント、ドッキング結果、トラジェクトリー、コンフォメーションアンサンブルなどの分子構造および関連データを対話的に可視化・解析する拡張性の高いプログラムです(wikiより)。最近のアップデートで、プログラム内からGoogle ColabのColabFold(引用4)にアクセスして、AlphaFoldによる構造予測を行い、結果をそのままUCSF Chimera Xに読み込む機能が実装されました。UCSF Chimera Xは多機能で自分も理解していない機能がたくさんあるのですが、GoogleのアカウントさえあればColabFoldの利用は簡単です。この機能を試してみます。

 


M1 chip向けリリース

 

関連ツイート;ColabFoldの高速化

 

ソフトウエアのダウンロード

https://www.rbvi.ucsf.edu/chimerax/にアクセスする。

左のメニューのDownloadを選ぶ。

Download UCSF ChimeraX

デイリービルド(wiki)と安定版がある。最新の機能を使いたいならデイリービルドを選ぶ事になるが、不安定である可能性もあるので注意する。MacmacOS 10.14(64-bit)とM1版が選べる。LinuxはUbuntu22.04と20.04、Red Hat、Genericから選べる。windowsはwin10版がある。

 

.dmgを叩いてインストール後、起動した。


Tools=> Structure Prediction => AlphaFoldを選択。


右下にパネルが出てくる。

ウィンドウ内にタンパク質配列をペーストする。

(上の動画にあるように、カンマ区切りで複数配列可能、詳細は右下のhelpを参照)

 

下のPredictボタンをクリックすると、ColabFoldのウィンドウが出現する。初回はGoogleへのログインが要求される。Run anywayをクリックして予測をスタートする。

ColabFoldが相当に高速化されたため(上のツイート参照)、タンパク質が短い場合は10分くらいで計算は終わる(アカウントの種類によってはより高速)。

 

ジョブが終わるとそのままUCSF ChimeraXに予測された構造が視覚化される。

パネルは本体のウィンドウ上に持っていくと内に埋め込める。ColabFoldのパネルを右側に埋め込んだ。

 

 

予測結果のデータは初期設定では~/Download/ChimeraX/AlphaFoldに保存される(ツイート)。下の画像では2回ランしたので予測結果のフォルダが2つ見える。

 

UCSF ChimeraXの機能については、You tube動画でわかりやすく説明されています。視聴してみて下さい。

UCSF ChimeraX

https://www.youtube.com/channel/UCshah80g49e6wMd3wIojAUw

引用

1 X: Structure visualization for researchers, educators, and developers

Eric F Pettersen, Thomas D Goddard, Conrad C Huang, Elaine C Meng, Gregory S Couch, Tristan I Croll, John H Morris , Thomas E Ferrin 

Protein Sci. 2021 Jan;30(1):70-82

 

2 UCSF ChimeraX: Meeting modern challenges in visualization and analysis

Thomas D Goddard, Conrad C Huang, Elaine C Meng, Eric F Pettersen, Gregory S Couch , John H Morris , Thomas E Ferrin

Protein Sci. 2018 Jan;27(1):14-25


3 Visualizing density maps with UCSF Chimera

Thomas D Goddard, Conrad C Huang, Thomas E Ferrin

J Struct Biol. 2007 Jan;157(1):281-7

 

4 ColabFold: making protein folding accessible to all

Milot Mirdita, Konstantin Schütze, Yoshitaka Moriwaki, Lim Heo, Sergey Ovchinnikov & Martin Steinegger 
Nature Methods volume 19, pages 679–682 (2022)