シンテニー保存性の解析は、原核生物の未知遺伝子の潜在的な機能的役割を調査するための確立された方法論である。しかし、ゲノムコンテキストの再構築と可視化を行うバイオインフォマティクスツールは、通常、計算速度に依存し、狭い分類学上の範囲に限定され、異なる種間で隣接する遺伝子の機能と相互の探索を行うことはできない。GeCoVizは、原核生物の12221のリファレンスゲノムから構築されたオンラインリソースで、任意のターゲット遺伝子に固定されたカスタムゲノム領域を高速かつインタラクティブに可視化することができる。機能的、進化的な解釈を容易にするため、GeCoVizでは各解析の分類学的範囲をカスタマイズでき、隣接する遺伝子の包括的なアノテーションを提供する。インタラクティブな可視化オプションには、特に、遺伝子長やゲノム距離の縮尺表示、隣接する遺伝子のシンテニー保存のオンザフライ計算があり、カスタム閾値に基づいてハイライトすることができる。出来上がったプロットは、出版用に高品質な画像としてダウンロードできる。GeCoVizは、原核生物遺伝子のゲノム状況を調べるための、使いやすく、包括的で、高速かつインタラクティブなウェブベースのツールで、https://gecoviz.cgmlab.org で自由に利用できる。
Documentation
https://gecoviz.cgmlab.org/help/
動画で簡潔に機能は紹介されています。ここでは簡単に見ていきます。
https://gecoviz.cgmlab.org/にアクセスする。
トップページには2つのパネルがある。
GeCoVizでは、原核生物の遺伝子、オルソロググループ(KEGGs, eggNOGs)、タンパク質ファミリー(PFAM)のゲノム近傍を進化の観点から探索することができる。ユーザーはどのレベルの系統的解像度でも保存された近傍遺伝子を同定することが可能です。ゲノムコンテキストの解釈を容易にするため、GeCoViz は、選択されたゲノムを関連付ける系統樹、機能アノテーションの複数のソースとカスタムゲノム保存閾値に基づく遺伝子カラーリングオプション、遺伝子長およびゲノム距離の拡大縮小表示を提供します。
1つ目のパネルは、KEGG Orthology の階層をブラウズして、特定のパスウェイ遺伝子の保存性を調べるためのもの。KEGG Orthologyの階層をクリックして興味があるカテゴリーを展開していく。
K numbersをクリックするとゲノムコンテキストパネルに表示される。
このパネルでは、異なるゲノム間でターゲット遺伝子(写真では暗い青色)のゲノム近傍を探索することができる。系統的に保存された遺伝子はカスタムVSCに基づいて色付けされている。
もう1つのパネルでは、ユーザーが入力したタンパク質配列をeggNOG Orthologous Groups にマッピングし、系統学的に保存された遺伝子を可視化する。
検索結果の例
eggNOGのCluster of Orthologous Groups(COG)識別子をクリックすると視覚化される。
ゲノムコンテキストパネルの説明に移る。example1を見てみる。
保存された遺伝子の色付け方法
KEGG pathwayに変更した。
遺伝子コンテキストの左隣に色付きブロックとして視覚化可能ないくつかのメタデータ;isolation、soil、host associated、aquatic sediment mud、disease associatedなどが選べる。
左端にはそれぞれのゲノムの系統学的な関係を表すツリーを表示できる。
annotaton levelも変更可能。(選択した分類群に含まれるゲノムのみ色が付く)
メニューのselect custom genomesでは別画面に移動して、ユーザーが選択した分類群のon the flyeでのシンテニー計算が可能。
関心のある分類群のキーワードを入れて絞り込む。
円グラフの特定の階層をクリックして、追加したい分類群を右のメニューに追加し、最後に右下のvisualizeボタンをクリックする。最初から追加されているゲノムは決して特定の分類群でだけ調べたい時は、まず右のメニューに表示されているゲノムを消し、その上で円グラフの要素をクリック、追加する。
特定の門だけ選んだ。
隣接する遺伝子の視覚化個数は、context visualizationボタンのゲージで調整できる。
視覚化されている全ての情報は、クリックすることで詳細を確認できる。
遺伝子では、KEGGやPFAM、EggNOG DBなどへの外部リンクが表示される。
結果はhtmlやPDF、テキストとしてダウンロードできる。
引用
GeCoViz: genomic context visualisation of prokaryotic genes from a functional and evolutionary perspective
Jorge Botas, Álvaro Rodríguez del Río, Joaquín Giner-Lamia, Jaime Huerta-Cepas Author Notes
Nucleic Acids Research, Published: 26 May 2022
関連