原核生物の転写因子はリガンドによって遺伝子発現を制御するバイオセンサーとして利用可能であるが、現在はバイオセンサーが存在する化学リガンドのランドスケープは極めて限られている。この状況を拡大するために、本著者らは、enzyme reaction databasesの情報を活用して、ユーザーが定義した化学物質に反応する転写因子を予測するウェブアプリケーション、Ligifyを開発した。そして、候補となる転写因子を、標的化学物質に反応してGFPを発現するようにデザインされた自動生成プラスミド配列に組み込む。ベンチマーク分析により、Ligifyは既に検証された31/100のバイオセンサーを正しく予測し、更なる改良のための戦略を強調した。次に、Ligifyを用いて、D-リボース、L-ソルボース、イソオイゲノール、4-ビニルフェノールにそれぞれ反応して、蛍光が47倍、5倍、9倍、27倍変化する遺伝子回路パネルを構築した。Ligifyは、研究者がより広範な化学物質に対するバイオセンサーを迅速に開発する能力を高めるはずであり、https://ligify.streamlit.appで利用できる。
https://github.com/simonsnitz/Ligify/tree/main
Ligifyは、ユーザーフレンドリーなウェブアプリケーションからアクセスできる、完全に自動化された化学物質からプラスミドへのプログラムである。過去に検証された100組のレギュレーター:リガンドのキュレーションデータセットに対してLigifyのベンチマークを行ったところ、LigifyはTFBMinerよりも多くのレギュレーターを正しく予測した(それぞれ31対26)。
https://ligify.streamlit.app/にアクセスする。
Ligifyは、ユーザーが定義した代謝産物に反応する制御因子を検索する。
検索するには、SMILES記法で化合物の構造を入力するか化合物名を入力する。
Drawに切り替えると、化合物の構造を描いて検索することもできる。
出力例
センサー候補が表示される。
注;この論文ではリガンド誘導可能な原核生物の転写因子をレギュレーターと呼んでいている。
WP_005531518.1(タンパク質ID)を見てみる。その転写因子の詳細と、
その転写因子を組み込んだプラスミドのGenBankファイルが表示される。
原著論文へのリンクもある。
アクセスしてみて下さい。
引用
Ligify: Automated genome mining for ligand-inducible transcription factors
Simon d’Oelsnitz, Andrew D. Ellington, David J. Ross
bioRxiv, Posted February 21, 2024.