macでインフォマティクス

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HTS (NGS) 関連のインフォマティクス情報についてまとめています。

変異に伴うタンパク質-タンパク質複合体の結合親和性変化を予測するためのディープアンサンブル法 DeepPPAPredMut

 

 タンパク質-タンパク質相互作用(PPI)は多くの細胞内プロセスを支えており、変異によるその破壊は疾患の原因となる。AlphaFold2のようなタンパク質構造予測手法の進化と、広範な実験的親和性データの利用可能性に伴い、タンパク質-タンパク質複合体における変異によって引き起こされる結合親和性の変化を効率的に予測できる最新の計算ツールが急務となっている。
変異による結合親和性の変化を正確に予測するために、タンパク質の配列、予測された構造に基づく特徴、タンパク質の機能クラスを活用した深いアンサンブルモデルを開発した。このモデルは、トレーニングデータセットで相関0.97、平均絶対誤差(MAE)0.35 kcal/molを達成し、テストセットでは相関0.72、MAE0.83 kcal/molと頑健な性能を維持した。さらに、Leave-One-Out Complex (LOOC)クロスバリデーションを用いて検証を行ったところ、相関は0.83、MAEは0.51 kcal/molとなり、一貫した性能を示した。

 

Tutorial

https://web.iitm.ac.in/bioinfo2/DeepPPAPredMut/help.html

 

簡単に見ていきます。

webサービス

https://web.iitm.ac.in/bioinfo2/DeepPPAPredMut/index.htmlにアクセスする。

DeepPPAPredMutはディープラーニングに基づくタンパク質-タンパク質複合体の結合親和性変化予測ツール。このモデルは、ユーザーからタンパク質配列と変異を入力として受け取り、変異による結合親和性の変化を予測する。

 

 

FASTA形式のタンパク質配列と変異を入力する。各タンパク質は2行で構成されている必要がある。

 

wt-chainID-position-mutationで変異のポジションを入力する。

wt-chainID-position-mutationは、変異前(wt)のアミノ酸-ポリペプチドでのポジション-変異のアミノ酸(mutation)というフォーマット。1行に1つずつ記入する。

 

オプションからタンパク質の機能クラスを選択する。



出力例

予測されたΔΔG(kcal/mol)が表示され、指定した変異が親和性を減少させるか増加させるかについての予測結果も提示される。

 

コメント

  • webサーバーを紹介しましたが、論文はアンサンブルモデルの構築と性能評価が主要な内容です。サーバーは実用的なものですが、機能はシンプルで、主観では概念実証というかおまけに近いものかと感じます。興味がある方は論文を読んでみて下さい。

引用

DeepPPAPredMut: deep ensemble method for predicting the binding affinity change in protein-protein complexes upon mutation

Rahul Nikam, Sherlyn Jemimah, M Michael Gromiha

Bioinformatics, Published: 08 May 2024