メタゲノミクスは、抗生物質耐性遺伝子(ARG)の拡散を監視するために利用できる。ResFinderやCARDなどのデータベースで発見されたARGは、主に培養可能な病原性細菌に由来するものだが、培養不可能な非病原性細菌由来のARGについては、まだ研究が不十分なままになっている。機能メタゲノミクスは表現型遺伝子選択に基づいており、既知のARGと共有する同一性が低い可能性のある非培養性細菌由来のARGを特定することができる。2016年、機能的メタゲノミクス研究からARGを収集するために、ResFinderFG v1.0データベースが作成された。ここでは、データベースの第2版であるResFinderFG v2.0を紹介し、Center of Genomic Epidemiologyのウェブサーバー(https://cge.food.dtu.dk/services/ResFinderFG/)で公開する。このデータベースは、50のデータセットから機能的メタゲノミクスによって同定された3913のARGで構成されている。腸、土壌、水(海洋+淡水)のGlobal Microbial Gene Catalogues(https://gmgc.embl.de)の他の一般的なデータベースと比較し、ARGを検出する可能性を評価した。ResFinderFG v2.0は、他のデータベースでは検出されなかったARGを検出することができた。その中には、β-ラクタム、サイクリン、フェニコール、グリコペプチド/サイクロセリン、トリメトプリム/スルホンアミドに対する耐性を付与するARGが含まれていた。このように、ResFinderFG v2.0は、従来のデータベースとは異なるARGの同定に利用でき、レジストームの記述を改善することができる。
ResFinder FG v.2.0 database
https://github.com/RemiGSC/ResFinder_FG_Construction
https://cge.food.dtu.dk/services/ResFinderFG/にアクセスする。
データベースは、現在では機能ゲノム抵抗性データベースのみ選べる。メタゲノムのcontigのFASTA形式ファイルを選択する。
また、Select threshold for %ID チェックボックスで、データベース内の最も適合する耐性遺伝子とゲノム内の対応する配列の間での配列間最小同一性の割合を選択する。選択した閾値と同じかそれ以上の%同一性を持つすべての遺伝子が出力に表示される。デフォルトは98%となっている。また、抵抗性遺伝子のヒットとしてカウントするために、配列がその遺伝子と重なる必要があるヌクレオチドの数であるSelect minimum lengthの%を指定する。デフォルトでは60%となっている。
fastaファイル以外に生のシークエンシングデータのアップロードにも対応している。
ファイルのアップロード後、自動でメールアドレスを記入するページにジャンプする(macosで試した時は、chromeでは動作したがsafariでは切り替えが起きなかった)。メールアドレスを指定しておくと、ラン終了時に結果のリンクを記載したメールが届くようになる。
出力例
結果は表形式で出力される。
引用
ResFinderFG v2.0: a database of antibiotic resistance genes obtained by functional metagenomics
Rémi Gschwind, Svetlana Ugarcina Perovic, Maja Weiss, Marie Petitjean, Julie Lao, Luis Pedro Coelho, Etienne Ruppé
Nucleic Acids Research, Published: 19 May 2023