macでインフォマティクス

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HTS (NGS) 関連のインフォマティクス情報についてまとめています。

病原性細菌の抗生物質耐性関連可動遺伝因子を検出する VRprofile2

 

 VRprofile2は、細菌ゲノム配列中の多様な mobile genetic elementsを高速に同定するパイプラインを更新したものである。前バージョンと比較して、3つの大きな改善がなされた。まず、モザイク構造を持つ多剤耐性領域において、抗生物質耐性遺伝子カセットと様々なmobile elementsを組み合わせて調査する際に、ユーザーフレンドリーな視覚化が可能になった。VRprofile2は、予測されたmobile elementsを、収集された類似構造の既知のmobile elements(可動遺伝因子wiki)と比較することができる。また、個々の細菌ゲノムにおけるmobilome(a set of mobile genetic elements, wiki)の大きさを総合的に推定するための新しいmobilome 指標を提案した。第二に、予測された菌株の配列タイピング、不和合性グループ、プラスミドの移植性を利用して、抗生物質耐性遺伝子、mobile elements、宿主菌株の関係を効率的に検討することができる。また、バックエンドデータベースであるMobilomeDB2には、文献から検索した、あるいは予測に基づく約1000の活性型mobile elementsが収集されている。また、5500以上のESKAPEEゲノムの抗生物質耐性遺伝子保有mobile elementsの事前計算結果も提供されている。VRprofile2は、細菌のmobile elementsや抗生物質耐性の伝播に興味を持つ研究者にとって、より良いサポートを提供するものと期待される。VRprofile2 は、ログイン不要で誰でも自由に利用できる(https://tool2-mml.sjtu.edu.cn/VRprofile)。

 

help

https://tool2-mml.sjtu.edu.cn/VRprofile/docs/#/

 

webサービス

https://tool2-mml.sjtu.edu.cn/VRprofileにアクセスする。

ここでは左側の新規予測を選択

 

GenBank形式のアノテーションファイルをアップロードする。chromosmeかplasmid、単離ゲノムかメタゲノムアセンブリかを指定する。

ここではexampleのchromosomeを選択した。

 

出力

同定されたMGE領域のテーブルが表示される。

 

青色のsummaryボタンの右にあるgenome viewをクリックすると、環状ゲノム表現でのAntibiotic Resistance Associated Mobile Genetic Elementsの位置が表示される。

 

Browseタブでは細菌で同定されたMGEを閲覧できる。

ESKAPEE群(Enterococcus faecium, Staphylococcus aureus, Klebsiella pneumoniae, Acinetobacter baumannii, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter spp.と Escherichia coli)から選択できる。

 

Searchタブでは抗生物質耐性遺伝子(ARG)名を入力することで、問い合わせたARGの宿主菌の分布、MGEの種類、ARGと挿入配列(IS)の関係などを検索できる。

 

検索例

 

Statisticsタブでは、菌株分布、ARGs分布、ARGsと異なるタイプのMGEsの関係性を閲覧できる。

 

 

 

引用

VRprofile2: detection of antibiotic resistance-associated mobilome in bacterial pathogens 
Meng Wang, Ying-Xian Goh, Cui Tai, Hui Wang, Zixin Deng, Hong-Yu Ou
Nucleic Acids Research, Published: 07 May 2022