macでインフォマティクス

macでインフォマティクス

HTS (NGS) 関連のインフォマティクス情報についてまとめています。

メタゲノム解析を行う BusyBee Webのアップデート

 

 近年、分類学的プロファイリングツールの方法論やリファレンスデータベースの改良が進んでいるが、メタゲノム解析ワークフローにおいては、メタゲノムアセンブリとゲノムビニングが依然として重要な柱である。リファレンス情報がない場合、ゲノムビニングはmixed cultureメタゲノム解析の最先端手法と考えられている。この観点から、本著者ら以前発表したツールBusyBee Webは、組成に基づくビニング法を実装し、迅速なオンラインユーティリティとして機能するのに十分な効率性を備えている。このウェブサーバーは、アセンブルされたコンティグと長いナノポアリードを同様に扱い、幅広い補足的な注釈と視覚化を提供する。既存の機能を見直し、包括的な可視化機能を追加し、さらなる実験のためにデータ解析のカスタマイズオプションを増やした。このウェブサーバーでは、計算コストが高く、通常カバレッジベースのビニング法でのみ実行されるサンプルの差分解析が、視覚化によってサポートされるようになった。さらに、PLSDBをリファレンスデータベースとして、アップロードしたサンプルのプラスミド配列をユーザーが任意にチェックできるようになった。最後に、パワーユーザーがリソースへのアクセスを完全に自動化し、既存のワークフローに統合できるように、サポートするPythonパッケージと新しいアプリケーションプログラミングインタフェースが実装された。ウェブサーバーは、https://www.ccb.uni-saarland.de/busybee の下で自由に利用できる。

 

Github


API

https://ccb-microbe.cs.uni-saarland.de/busybee-update/api/

 

webサービス

https://ccb-microbe.cs.uni-saarland.de/busybee-updateにアクセスする。

Submitで新しいジョブを投げるか、右のOpenから実行済みジョブの結果を閲覧する。

 

新しいジョブを開始する時は、fastaファイルをアップロードする(最大200MB)。それから、オプションの解析を行うかどうか指定する。

Advanced

 

ジョブの進捗状況。失敗したものはXが付き、成功したものはチェック✅が付く。

 

 

ここでは、登録されているジョブ18270d31-b89f-4e5f-a64a-e65584f5c4c1を確認してみる。

 

主要な3つの新機能(論文より)

  • BusyBee Webでは、mash screen を用いて入力配列を最新版のPLSDBと比較するオプションが追加された。プラスミドシグネチャーが検出された場合、そのプラスミドに関する最も関連性の高い情報が表示される。
  • BusyBee Webにプログラムからアクセスできるように、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を実装した。ユーザーは、APIを介してジョブの開始、ステータスの確認、個々の結果のダウンロードができる。
  • グループ比較機能。BusyBee Webでは、まず2つの埋め込まれた配列に個別にガウス型2次元カーネルを適用し、ユーザー定義の2クラス間の差分密度を計算する。次に、両者の密度の差分を可視化する。この結果、通常、様々な領域が異なるクラスによって支配されている画像が得られる(上の2D密度プロット画像)。例;ロングリードとショートリードでアセンブルしたスキャフォールドを比較して、ロングリードでは読まれていないスキャフォールドを調べるなど。

 

引用

BusyBee Web: towards comprehensive and differential composition-based metagenomic binning 
Georges P Schmartz, Pascal Hirsch, Jérémy Amand, Jan Dastbaz, Tobias Fehlmann, Fabian Kern, Rolf Müller, Andreas Keller
Nucleic Acids Research, Published: 30 April 2022

 

関連