macでインフォマティクス

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HTS (NGS) 関連のインフォマティクス情報についてまとめています。

タンパク質タンパク質、タンパク質ペプチド、タンパク質核酸相互作用の検索と解析、モデリングのためのウェブサーバ PPI3D

 

 構造解析されたタンパク質と他のタンパク質、ペプチド、核酸との相互作用は、分子メカニズムを理解するための鍵となる。PPI3Dウェブサーバーは、前処理されクラスタ化された構造データを照会し、結果を解析し、タンパク質相互作用について相同性ベースの推論を行うことを可能にする。PPI3Dは3つの相互作用探索モードを提供する:(i) クエリと相同なタンパク質の全ての相互作用、(ii) 2つのタンパク質またはそのホモログ間の相互作用、(iii) 特定のPDBエントリ内の相互作用。このサーバーでは、同定された相互作用を要約と詳細の両方で対話的に解析することができる。これには、タンパク質注釈、構造、界面残基、対応する接触表面積が含まれる。さらに、配列アラインメントとホモロジーモデルから、クエリタンパク質の相互作用界面の残基を推測することができる。毎週更新されるPPI3Dデータベースには、PDBにある全ての相互作用界面と結合部位が含まれ、タンパク質の配列と構造の類似性の両方に基づいてクラスタ化されているため、代替相互作用モードを損なうことなく冗長性のないデータセットを得ることができます。その結果、PPI3Dのユーザーは、冗長な情報で溢れることを避けることができる。さらに、PPI3Dはユーザー定義の相互作用インターフェースのセットをダウンロードし、ローカルで解析する可能性を提供する。PPI3Dのウェブサーバーはhttps://bioinformatics.lt/ppi3dで公開されている。

 

Tutorial

https://bioinformatics.lt/ppi3d/tutorial

help

https://bioinformatics.lt/ppi3d/help

 

機能を簡単に見ていきます。

webサービス

https://bioinformatics.lt/ppi3d/にアクセスする。

Single-sequence searchを選択。

 

Single-sequence searchでは、クエリ配列1つを入力する。FASTA フォーマットの配列を貼り付けるか、 UniProt のアクセッションIDをUniProt AC フィールドに入力する。デフォルトのBLASTオプションでは、BLASTPを使って最も近いホモログを見つける。Submitボタンをクリック。

BLAST検索は高速で、exampleの配列だと数十秒で結果が表示された。

出力例

クエリタンパク質のホモログについて、タンパク質間相互作用、タンパク質ドメイン間相互作用、タンパク質-ペプチド間相互作用、タンパク質ー核酸間相互作用、リストの全部、サマリーに分けて、相互作用する可能性のある数が表示される。さらに出力を調整するために、いくつかクラスタリングオプションを選択できるようになっている。表の6/38というのは、クラスタリング前には38ヒットあり、クラスタリングによって6ヒットになったことを示している。

画像下のボタンから、例えば、Sequence similarity > 40%, similarity of binding site residue areas > 50%"を選択すると、類似した界面をグループ化できる(チュートリアルより)。

 

ホモメリックタンパク質間相互作用を解析するには、左端のProtein-proteinの数字をクリックする。

 

クリックするとタンパク質-タンパク質相互作用の一覧を示したページに切り替わる。クエリのホモログとタンパク質タンパク質相互作用する(クラスター化された非冗長な)リストが表示されている。

表のヘッダー行のフィールドに条件を入力すると、表をインタラクティブにフィルタリングできる。

 

1つ開いてみた。JSmolアプレットが表示され、実験で決定された構造が表示されている。

3D構造は自由に回転、拡大できる。右クリックで詳細なメニューを呼び出して表示をさらに調整したり、JSmolの下にあるチェックボックスから特定の構造だけを非表示にしたりできる。また、右クリックで詳細なメニューを呼び出してPyMOLスクリプトをダウンロードし、PyMOLを使って相互作用を詳細に解析することも可能(マニュアルより)。

 

JSmolアプレットの下には、残基とコンタクトのテーブルがある。

原子レベルでの界面コンタクトの解析には、PPI3Dから直接VoroContactsサーバーに構造を送信することができる(チュートリアルより)。

 

下部の配列アライメントでは、界面残基が色付けされ、相同性に基づいた結合部位の推定ができるようになっている。

 

Protein - peptide相互作用を調べるには、1つ戻り(もしくは左のメニューからResults summaryをクリック)、Protein-peptideを選択してapplyボタンをクリックする。

 

Protein-peptideだけ選択したところ、候補は1つだけになった。

 

JSmolアプレットではペプチドが強調表示されている。回転させて結合部位を確認できる。複数のペプチドが結合する場合、それぞれのペプチドだけを表示/非表示にできる。

 

Results summaryに戻る。今度はProtein-nucleic acidを見てみる。

 

今度は8ヒットあった。1つ開いてみる。

 

出力例

 

two-sequences searchは、最初のタンパク質と2番目のタンパク質、またはそれらのホモログ間のタンパク質間相互作用のみを同定するための機能となっている。

論文より

  • PDBに登録されているタンパク質複合体の数はすでに非常に多く、着実に増加しているため、構造分解相互作用データの豊富な情報源となっている。しかし、これらのデータを抽出し、解析し、利用することは必ずしも容易ではない。X線結晶構造解析によって決定された構造に関する問題のひとつは、生物学的に重要な相互作用を、結晶のパッキングに起因するものとどのように区別するかということである。また、相互作用データの冗長性という問題もある。あるタンパク質複合体に対して複数のPDBエントリーが存在する場合があり、1つのPDBエントリーでさえこの複合体の複数のインスタンスを含んでいる場合がある。この冗長性は、通常は代表的な単量体構造を得るのに十分な単純な配列ベースのフィルタリングでは減らすことができない。相互作用界面の代表を得るには、構造に基づいた比較が必要となる。これは、それ自体些細な努力ではない。
  • PPI3Dサーバでは、最新のPDB生物学的アセンブリから得られた冗長でないペアワイズ相互作用セットを検索し、得られた結果を詳細に解析できる。さらに、PPI3Dのユーザーは、クエリタンパク質の相互作用部位に関して相同性ベースの推論を行い、テンプレートベースのモデルを構築することができる。PPI3Dはボロノイテッセレーションを用いて相互作用インターフェースを導き出し、解析することで、他の類似ツールの中で際立っている。さらに、PPI3D接触表面積を介して接触を表現することで、界面や結合部位の構造ベースのクラスタリングロバストに行うことができる。このステップは、配列の類似性だけに基づくクラスタリングでは失われる、代替的な相互作用を検出する上で重要である。PPI3Dの新しいバージョンでは、2つの大きな改良点が導入されている:(i)PPI3Dをタンパク質-核酸間の相互作用に拡張した、(ii)カスタマイズ可能な相互作用インターフェースのセットをダウンロードできるようにした。

引用

PPI3D: a web server for searching, analyzing and modeling protein–protein, protein–peptide and protein–nucleic acid interactions 
Justas Dapkūnas, Albertas Timinskas, Kliment Olechnovič, Miglė Tomkuvienė, Česlovas Venclovas
Nucleic Acids Research, Published: 15 April 2024