シアノバクテリアは、広く普及している重要な細菌門であり、地球上の炭素・窒素固定のかなりの部分を担っている。しかし、シアノバクテリアの16S rRNA遺伝子配列の信頼性の高い正確な自動分類は、相反する体系的なフレームワーク、一貫性のない分類学的な定義(門自体も含む)、データベースのエラーなどによって混乱している。Cydrasil 3 (https://www.cydrasil.org)は、シアノバクテリアの系統分類と日常的な同定のために、完全な系統分類の視点を提供するように設計された、精選された16S rRNA遺伝子リファレンスパッケージ、データベース、およびウェブアプリケーションである。Cydrasil 3には、1100塩基対以上の長さで、1300以上の手動で精査された配列が含まれており、系統学的な配置や、de novo系統再構成のためのリファレンス配列セットとして使用することができる。ウェブアプリケーション(PaPaRAとEPA-ngを利用)では、何千もの配列をリファレンスツリーに配置することができ、結果の解析方法についても詳しく説明されている。Cydrasilウェブアプリケーションは分類学上の割り当てを行わない代わりに、系統樹の配置を行い、キュレーションノートやメタデータを含む検索可能なデータベース、コミュニティからのフィードバックの仕組みを提供している。
CydrasilリファレンスパッケージのすべてのバージョンはGitHubで公開されており、ローカルな解析のためのCydrasilの使い方を説明したREADMEが含まれている。
https://www.cydrasil.orgにアクセスする。
Getting startedを選択した。
Getting Started with Cydrasil
初回は右上のログインボタンから新規アカウントを作成する。1分程度で作成可能。
Cydrasil Web Appを使ってユーザーの16S rRNA遺伝子の配列をCydrasilのリファレンスツリーに配置する。アカウントが必要。
系統樹に配置したいシアノバクテリアの16S配列をペーストする。PLACE SEQUENCESボタンをクリックする。
しばらくすると配置された事を知らせるページに切り替わる。結果をダウンロードする。
シーケンスの配置結果は、iTOLを使って視覚化できる。
iTOLで視覚化した。
詳しい使い方はCydrasil 3で説明されている。
https://www.cydrasil.org/HowToAnalyze
Cydrasilのリファレンスパッケージ含まれている配列の完全なデータベースは、「データベースの詳細」で閲覧できる。クリックする。
検索する。
クリックすると展開する。各エントリには、代表的な16S rRNA遺伝子の配列と、そのエントリのソース、エントリに関する注意書きなどが含まれている。
エントリのソースがIMGの場合、リンクはJGI Integrated Microbial Genomes & Microbiomes(IMG)に繋がっている。
リンク先(JGI IMG)
引用
Cydrasil 3, a curated 16S rRNA gene reference package and web app for cyanobacterial phylogenetic placement
Daniel Roush, Ana Giraldo-Silva & Ferran Garcia-Pichel
Scientific Data volume 8, Article number: 230 (2021)