バイオアッセイの改良により、新しいタンパク質間相互作用(PPI)の同定率が大幅に向上し、検出されたヒトPPIの数は、初期のヒト・インタラクトームの推定サイズを大幅に上回っている。これらの新しいPPIは、疾患メカニズムのより完全な見解を提供しているが、PPIが表現型にどのように影響するかを正確に理解することは、依然として課題となっている。そのためには、PPIの状況(組織、細胞内局在など)や機能的役割(特にパスウェイやタンパク質複合体内)についての知識が必要である。前作のIIDでは、PPIコンテクストに着目し、組織、疾患、細胞局在、薬剤性などの包括的なアノテーションを持つネットワークを提供した。今回の更新では、利用可能なコンテキストに発達段階を追加し、データ不足や利用可能なコンテキストカテゴリとの非互換性により、これまでアノテーションできなかったPPIにコンテキストを割り当てる方法を提供する(例:膜タンパク質と細胞質タンパク質間の相互作用)。今回の更新では、種を超えた保存性、パスウェイにおける方向性、大きな複合体への参加、相互作用の安定性(安定か一時的か)、変異効果についてもPPIをアノテーションしている。例えば、コンテキストアノテーションは、PPIやネットワークタンパク質に関して分析することができる。表形式での表示やダウンロードに加え、IIDはオンラインでネットワークの可視化を提供する。このアップデートは、http://ophid.utoronto.ca/iid で利用できる。
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http://iid.ophid.utoronto.ca/#basic_search
http://iid.ophid.utoronto.ca/にアクセスする。
サーチするには、識別子(Gene Symbol, UniProt ID, Entrez Gene ID)をタブ、改行、カンマ区切りのいずれかで入力する(最大1000クエリ)。
右側でID の元となる生物を選択する。デフォルトはヒトだが、ヒト以外の生物も選べる。
その下のメニューで、クエリタンパク質の全ての相互作用を検索するか(例えば、TP53とBRCA1を検索すると、TP53とBRCA1の全ての相互作用が得られる)、クエリタンパク質間の全ての相互作用を検索するか(例えば、TP53とBRCA1を検索すると、TP53とBRCA1、もし存在するならタンパク質自身と相互作用のみが得られる)を選ぶ(マニュアルより)。
ここでは公式の例にあるTP53とBRCA1を検索する。こうすると、TP53とBRCA1の全ての相互作用が得られる。
PPIのソースを”実験、予測、またはオルソロジーに基づく相互作用”に限定できる。また、エビデンスの最小閾値を選択できる。
検索されたPPIの信頼性を高めるために、一つの研究によってのみ報告された相互作用は除いたり、一つの方法(例えば、質量分析のみまたはyeast two hybridのみ使用)によってのみ発見された相互作用を除外できる。
より詳細なフィルタリングが可能。発生段階や組織、疾患、ドラッグ、相互作用の向き、複合体、PPIに対する変異の影響など。
View Resultsをクリックする。
結果はページの一番下に表示されるので下にスクロールする。「View Results」をクリックすると、結果が表形式で表示される。表の各IDはuniprotにリンクしている。表の右にはネットワークグラフとして視覚化される。
フィルタリング条件はいつでも変更できる。条件を変えたらView Resultsをクリックし、結果を調整していく。例えば組織のkidneyとliverを選択すれば腎臓と肝臓両方で発現した遺伝子のを持つPPIのみが残る。
Detailed tissues: jointsでは両方のタンパク質(遺伝子)がその組織で発現している」(デフォルト)、または「1つまたは両方のタンパク質(遺伝子)がその組織で発現している」、を選べる。
一番下の解析オプションでは、PPIアノテーションのエンリッチメントとトポロジーの分析ができる。
PPIアノテーションのエンリッチメント。フィルターで選択した条件を選んで濃縮度を視覚化できる。ここでは組織でフィルタリングしたのでTissuesが選べる。
PPIのコンテキストとフィーチャーのアノテーションを解析し、検索されたネットワークにおけるエンリッチメントを調べる機能。色はエンリッチメントの重要性を示す。
トポロジーの測定結果を得るには、検索タブに1つ以上のタンパク質を入力し、「結果を見る」をクリックする。各クエリタンパク質と検索された相互作用物質の次数、クラスタリング係数を取得することができる。
引用
Integrated interactions database: tissue-specific view of the human and model organism interactomes
Max Kotlyar, Chiara Pastrello, Nicholas Sheahan, Igor Jurisica
Nucleic Acids Res. 2016 Jan 4; 44(Database issue): D536–D541
IID 2018 update: context-specific physical protein-protein interactions in human, model organisms and domesticated species
Max Kotlyar, Chiara Pastrello, Zara Malik, Igor Jurisica
Nucleic Acids Res. 2019 Jan 8;47(D1):D581-D589
Informed Use of Protein-Protein Interaction Data: A Focus on the Integrated Interactions Database (IID)
Chiara Pastrello, Max Kotlyar, Igor Jurisica
Methods Mol Biol. 2020;2074:125-134
IID 2021: towards context-specific protein interaction analyses by increased coverage, enhanced annotation and enrichment analysis
Max Kotlyar, Chiara Pastrello, Zuhaib Ahmed, Justin Chee, Zofia Varyova, Igor Jurisica
Nucleic Acids Res. 2021 Nov 10;gkab1034