2018 11/07追記
2018 11/16 誤字修正
2020 9/26 NCBI Staffのツイート追記
プライマーデザイン時には、GC率が適度か、ヘアピンループを取らないか、ダイマーを作らないかなどはチェックされるが、ゲノム全体で特異的な増幅が可能な組み合わせになっているかどうか調べるのは簡単ではない。特に、マルチプレックスPCRのような複数のプライマーを使い同時に複数断片を増やす系は難しい。
一般に3'末端側に2塩基のミスマッチがあれば特異的な増幅が可能と言われるが、リアルタイムPCRのような実験系だと、エキソンイントロンの境界に設計し、なおかつイントロンも挟むなどの工夫を凝らし(イントロンを含めずに隣接エキソンを跨ぐプライマー)、高い特異性を持ったプライマーであることが成否の肝となってくる。そのため、自動でエキソンイントロン境界にプライマーをデザインするようなツールが用いられるが、従来の自動設計ツールはBLASTをそのまま用いているため、わずかなミスマッチがある似た配列の検出がそもそも完全にはできていない可能性がある。Primer-BLASTはprimer3と短いリードの検出にカスタムした BLASTを使い、特異的なプライマーを設計する作業を自動で行うNCBIのサービス。
2020 9/26
Primer-BLAST can now design primers for a group of related target sequences!https://t.co/1wHhcqwzWS pic.twitter.com/Pk1sWO0npC
— NCBI Staff (@NCBI) 2020年9月25日
使い方は統合TVを確認してください。プライマーの片方だけ設計・入力し、もう片方のプライマーを自動設計することも可能です。
統合TV解説
Primer BLASTの使い方 統合TV(togotv)|生命科学系DB・ツール使い倒し系チャンネル
Primer-BLASTリンク
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/tools/primer-blast/
追記
ローカル環境でプライマーのブラスト検索を行うなら、"-task blastn-short"をつけて実行する。
makeblastdb -dbtype nucl -in database.fasta -out blastn_database
blastn -db blastn_database -query primer.fa -outfmt 6 \
-out output.txt -num_threads 10 -task blastn-short -evalue 1e-1
e-valueは必要に応じて変えて下さい。
プライマーをスピーディにデザインするにはFastPCRがおすすめです。プライマーを自動設計し、設計したprimerが機能するかどうかシミュレーション(in silico PCR)で検証できます。GUIツールなので簡単に使えます。
あらかじめprimer_Maskerでリピートをマスクしておけば、primer3でのプライマー設計で特異性を担保できます。
数に応じてリピートをマスクしてプライマー設計できる ので、個人的にはこちらの方が好きです。k-merサイズを変えることででマスク感度の調整も容易です。
引用
Primer-BLAST: a tool to design target-specific primers for polymerase chain reaction.
Ye J, Coulouris G, Zaretskaya I, Cutcutache I, Rozen S, Madden TL.
BMC Bioinformatics. 2012 Jun 18;13:134.
統合TV Primer BLASTの使い方
DOI: 10.7875/togotv.2010.046
参考動画