2020 9/3、9/6 誤字修正
1997年の論文
このリストには、International Journal of Systematic Bacteriologyに掲載された細菌の正式名称がアルファベット順に年代順に掲載されている。5,569種(1996年12月31日現在)を網羅しており、インターネット上で入手可能である(URL: ftp:@ftp.cict.fr/pub/ bacterio/)。
2020年の論文
The List of Prokaryotic names with Standing in Nomenclature(LPSN)は、Jean Euzéby教授によって、1997年に the List of Bacterial names with Standing in Nomenclature(LBSN)として設立された。1997年3月28日に匿名のFTPファイルとして、1998年1月28日にWorld Wide Web上で公開された [ref.1] 。「Euzéby's List」は、細菌や考古学の命名法や分類に興味のある人にとって、急速に重要なオンラインリソースとなった。
LPSNは、原核生物の命名法の急速な変化や新規分類の記述の増加に遅れをとらないための貴重なリソースであり続けている。The International Code of Nomenclature of Prokaryotes(ICNP)[ref.3]に基づいて有効に公開されている原核生物の新しい名称や新しい組み合わせの数は、過去30年間で爆発的に増加しており、今後のコードの変更に関わらず、今後も増加し続けると予想される。
実際の原核生物名の増加と予想される新しい原核生物名の増加に伴い、LPSNの維持がますます困難になっていたため、より良い技術的・資金的基盤が求められていた。そのため、2019年11月に、LPSNはLeibniz Institute DSMZ - German Collection of Microorganisms and Cell Cultures GmbH(ドイツ)によって買収された。DSMZは1993年からすでにProkaryotic Nomenclature Up-to-date(PNU)サービスを持っており、両サイトの内容には大きな重複があるため、コミュニティでの知名度が高いLPSNの名前のまま、2つのサービスを完全に新しいものに統合することが決定された。2020年2月17日、新しいLPSNは修正されたCreative Commons Attribution-NonCommercial 4.0 International (CC BY-NC 4.0)ライセンスの下、https://lpsn.dsmz.de/ で開始された。
技術的には、新しいサイトは全く別物である。数千の静的なHTMLページで構成されていた旧LPSNとは対照的に、リクエストに応じてページを提供するために専用のデータベースとスクリプトを使用している。旧サイトは、その全体がアーカイブに移行され、無期限に残ることになった。新しいサイトは、旧サイトのすべてのアドレスが新しいサイトに対応するアドレスを持っていることを保証するために、アドレス間のマッピングを行い、それによってリダイレクトされる。
ウィキペディア - LPSN
https://ja.wikipedia.org/wiki/List_of_Prokaryotic_names_with_Standing_in_Nomenclature
https://www.bacterio.netにアクセスする。
分類階級から検索したり、キーワード検索できる。E.coliを見てみる。
まずNomenclatural statusとTaxonomic statusを見ると両方とも"valid"になっており、Escherichia coliという名称や現在の分類が科学的に問題ないことが確認できる。Synonyms(シノニム)を見ると、Bacillus coliという名称もあることがわかる。リスクグループとは、実験室での感染リスクや毒素がもたらす相対的な危険性を記述する分類だが、これはsubspeciesレベルのリスク評価であり、Escherichia coliという種の全てがこのリスクグループに属する訳ではない。
Basonym(バシオニム)は細菌学では元の学名という意味だが、こちらもBacillus coliとなっている。シノニムの項目でもBacillus coliという名称になっていたが、バシオニムも同じ名称があることから、Bacillus coliは現在も別名で使用されているわけではなく、昔の細菌学で使われていた名前であることがわかる。また、タイプストレインのコレクションがいくつかあることがわかる(タイプ株は1つだけ)。ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション)株やSwedishのCCUG(Culture Collection University of Gothenburg )、JCM(Japan Collection of Microorganisms)、NCTC(National Collection of Type Cultures)なども利用できる。
Etymology(語源)にも記載がある。”大腸”から来ている。
外部リンクとしてBacdiveのリンクがある場合がある。Bacdiveでは炭素源や他の栄養源の資化・利用可能性に関する情報、至適pHや温度、サンプリング場所などの情報を確認できるようになっている。また、16S配列をダウンロードしたり(全16S配列ではない)、系統比較できるようになっている。
左のメニューから種よりも上位の階級にアクセスすれば、種としてvalidなNomenclatureの種一覧を調べることができる。
Escherichia属
感想
LPSNでvaildになっているかどうかの情報はよく似たバクテリア間で比較ゲノムを行う際にも重要になる。理由は単純で、よく表現型が分からない種を使ってゲノム比較を行ったとしても、深い議論が難しいからである。よく特徴付けられたタイプストレインのゲノムを使うことで、より意味のある結論を出しやすくなる。一方で、タイプストレインだからとって完全なゲノム情報が使えるとは限らないことには注意(経験上かなり多い)。
補足
おそらくはFundingの関係で、StrainInfoにはアクセスできなくなっています。後になって気が付きましたが、現在管理されているオーサーのAidan C Parteさんは昔からBergey's Manualのエディターとしても活躍されていますね(Linkedin)。
引用
List of Prokaryotic names with Standing in Nomenclature (LPSN) moves to the DSMZ
Aidan C Parte, Joaquim Sardà Carbasse, Jan P Meier-Kolthoff, Lorenz C Reimer , Markus Göker
Int J Syst Evol Microbiol. 2020 Jul 23
List of Bacterial Names with Standing in Nomenclature: a folder available on the Internet
J P Euzéby
Int J Syst Bacteriol. 1997 Apr;47(2):590-2
関連
参考
細菌分類学と Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology