macでインフォマティクス

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HTS (NGS) 関連のインフォマティクス情報についてまとめています。

微生物の増殖曲線をインタラクティブに解析するウェブアプリケーション Dashing Growth Curves

 

 微生物の成長を記録し分析することは、ライフサイエンスにおける日常的な作業である。数十から数百の増殖曲線を同時に記録するマイクロプレートリーダーは、この作業にますます使用されるようになり、その迅速で信頼性の高い分析に対する需要が高まっている。ここでは、研究者がコーディングの知識を必要とせず、オペレーティングシステムに依存することなく、増殖曲線を迅速に可視化・解析できる対話型ウェブアプリケーション、Dashing Growth Curves(http://dashing-growth-curves.ethz.ch/)を紹介する。増殖曲線は、パラメトリックおよびノンパラメトリックモデル、または手動でフィッティングすることができる。このアプリケーションは、最大成長率だけでなく、ラグタイム、指数関数的成長段階の長さ、最大個体数などの他の特徴も抽出する。さらに、Dashing Growth Curvesは、複製サンプルを自動的にグループ化し、すべての成長パラメーターについてダウンロード可能なサマリープロットを作成する。Dashing Growth Curvesは、微生物増殖曲線の解析に必要な時間を数時間から数分に短縮するオープンソースウェブアプリケーションである。

 

Github

https://github.com/mretier/growthdash

(Local installationについての説明もあり)

 

Tutorial

https://www.youtube.com/watch?v=lhvgZyPlHzA&ab_channel=DashingGrowthCurves

 

 

簡単に見ていきます(windowschrome使用)。

webサービス

https://dashing-growth-curves.ethz.ch/にアクセスする。

 Excelデータファイルをドラッグ&ドロップするか、ボックス内をクリックしてデータファイルを選択する。

 

デモファイルをexcelで開いた。Dashing Growth Curvesが成長データを解析するためには、シンプルな表形式で、タイムスタンプとサンプル名を含む必要がある。

1行目には時間が0から0.33分間隔で書かれている。1列目にはサンプルグループ名がある。2行目2列目以降には測定値が書かれている。フォーマットについては、論文でも説明されています(Fig.2)。

 

出力例

Data OverviewとData Analysisに分かれている。

 

Data Overview

アップロードされたデータは、各反復の個々のトレース(図の左側のプロット)、または同じサンプルに属する全部の反復の平均を表すトレース(図の右側のプロット)として表示される。どのデータを表示するかは、左右の図の真ん中の凡例をクリックしてON・OFFできる。同じサンプルグループの反復のトレースは同じ色で表示されている。

右の図の平均値のトレースの周りのエラーバンドは標準偏差を表している。図はインタラクティブに操作可能;パン、ズームしたりしてインタラクティブにデータを探索できる。

 

Data Analysis(サンプルビュー)

サンプルの増殖曲線とそれに関連するパラメータ、ブランクを表示する。

Dashing Growth Curvesは、すべてのサンプルの倍加時間、最大増殖率、ラグタイム、測定された最小個体数から最大個体数までの倍加数、対数成長期の倍加数、収量(すなわち最大個体数)を抽出する。対数成長期が観察されない場合、関連するパラメータは未決定のままとなる(論文より)。

 

blank、 optical densityの波長は変更できる。

デフォルトでは、データファイルの最初の3検体をブランクとして使用する。結果を可視化して見て、(技術的な理由などで)曲線を除外するなどの対応も可能。

 

フィッティングモデルも選べる。メニュー左のをクリックするとフィッティングが実行される。

 

Fitting modelについて

 

増殖曲線のフィッティング適用後

左のパネルは関連するブランクとその平均値(上でブランクは選べる)と現在選択されているサンプルの生トレース(左中央)、blankedトレース(左下)。右の図は、 blanked traceのプロット。右端は現在選択されているサンプルの各増殖パラメータ。右のグラフの中をドラッグすると、Logistic growthの曲線部分をマニュアルで指定できる(上の図の縦の灰色線が出ている間の部分)。

 

その下にはダッシュ増殖曲線のサマリーがプロットされる。サンプルの反復は自動的にグループ化される。

6つ棒グラフがある。例えば左上はsample1とsample2のdoubling timeプロット。

 

それぞれの結果はボトムにあるボタンからダウンロードできる。

 

引用

Dashing Growth Curves: a web application for rapid and interactive analysis of microbial growth curves

Michael A. Reiter & Julia A. Vorholt 

BMC Bioinformatics volume 25, Article number: 67 (2024)