全ゲノム重複(WGD)などの倍数性事象は、単一の生物体内に2つ以上のゲノムコピーを作成する。重複(サブゲノム)に由来するホモロガスな染色体の全セットは、遺伝子が相同染色体の1つからlossするfractionationと呼ばれる過程で遺伝子欠損を受ける(Langham et al、2004)。fractionationは最終的に、重複前の元の二倍体状態に近い数まで遺伝子数を減少させる(diploidization)。興味深いことに、複製された遺伝子対のいずれかのコピーが失われる可能性も常に同じではない。シロイヌナズナ(Thomas et al、2006)、トウモロコシ(Schnable et al、2011)およびBrassica rapa(Tang et al、2012)を含むいくつかの種において、特定のサブゲノムからの遺伝子欠失のバイアスが観察されている。
植物において、fractionationはWGDに続く主要な進化メカニズムであるが(Freeling et al、2012)、WGDの影響と結果として生じるfractionationバイアスは、主にfractionationバイアスを特徴付けるための使い易いツールがないため完全には研究されていない。この論文では、倍数体後の重複した合成領域間のバイアス分画を計算し、視覚的に評価するWebベースの自動ツール、FractBiasについて報告する。 FractBiasは、比較ゲノミクス(CoGe)プラットフォームを使用してローカルまたはオンラインで使用できる。
ラン
SynMapにアクセスする。
ゲノムを比較したい生物種2つを入力する。
Analysis optionのタブに切り替える。
Fraction Biasはdefaultでは計算されない。Fraction Biasを計算するには、パラメータを以下のように変更する。
- Synthetic depthをQuota Alignに指定。
- Ratio of depthを2ゲノムのpolypoidyの幅で指定。
- Fractionation Biasの項目のRunにチェックをつける。
- Sliding Window Sizeサイズを調整(defaultは100遺伝子)
- 計算を All genesかsyntenic genesに指定(論文のsupplementary Fig.1B)
ランを開始すると、進捗状況が表示される。
結果
まず比較した2ゲノムのHarr plotが表示される。
Harr plotの下の方にFraction Bias分析結果が表示される。
結果の解釈の仕方については、論文内で詳細が説明されている。Aは遺伝子欠失が多い領域、Bは欠失の少ない領域を表す。
この他の典型的な例は論文のsupplementary Fig4-6に載っている。論文に書いてあるようにどのゲノムと比較するかが大事になるが、supplementary Table 1に比較例がある。
引用
FractBias: a graphical tool for assessing fractionation bias following polyploidy.
Joyce BL, Haug-Baltzell A, Davey S, Bomhoff M, Schnable JC, Lyons E
Bioinformatics. 2017 Feb 15;33(4):552-554.