IQ-TREEはTREE-PUZZLEの後継プログラムであり、大規模な系統樹データの最尤解析を行うための効率的で汎用性の高い系統樹ソフトウェアである。IQ-TREEは効率的にツリー空間を探索し、RAxMLやPhyMLよりも高い尤度を達成することが多い。IQ-TREEの他の重要な特徴は、(i)分割スキームの発見を含む非常に高速なモデル選択手順、(ii)系統図データの分割解析、(iii)超高速ブートストラップ近似、(iv)いくつかの分岐検定と(v)ツリーのトポロジー検定(例: (ref.9)など)の実装である。
ほとんどの系統樹ソフトウェアパッケージ(IQ-TREEを含む)は、コマンドラインベースであるため、専門家でない人にとっては実行に手間がかかる。そのため、直感的に操作できるWebアプリケーションが多く開発されてきた((ref.10,11)など)。
ここでは、IQ-TREEソフトウェアを用いた系統解析のためのユーザーフレンドリーなWebアプリケーションと計算サーバーであるW-IQ-TREEを紹介する。W-IQ-TREEは現在32CPUのコンピュータクラスタ上で動作しており、用途に応じて拡張することが可能である。2014年4月のサービス開始以来、ユーザー数と投稿ジョブ数は着実に増加している(論文図1)。これは、以下に紹介するユーザーフレンドリーな機能によるものと思われる。
W-IQ-TREEは、PHYLIP、FASTA、Nexus、Clustal、MSF形式のアラインメントを入力することができる。DNA、アミノ酸、コドン、バイナリ、形態学的データなど様々な配列データをサポートしている。バイナリ配列は0と1でエンコードされているが、形態学的配列は0-9とA-Zを文字として使用することができる。系統図のアラインメントでは、異なる遺伝子を指定したり、コドン位置を区別したりするために、パーティショニングスキームを定義したパーティションファイルを提供することができる。
デフォルトでは,W-IQ-TREE は,最適な置換モデルを決定し,その後にツリーの再構成を行う.あるいは、離散ガンマやフリーレートモデルのようなレートの不均一性のモデルと一緒に置換モデルを指定することもできる。IQ-TREEは、タンパク質混合モデルを含む幅広い置換モデルをサポートしている。アラインメントに不変部位(例えば、一塩基多型や形態学的データ)が含まれていない場合には、確認バイアス補正モデルをオンにして尤度を補正することもできる。(以下略)
tutorial
http://www.iqtree.org/doc/Web-Server-Tutorial
http://iqtree.cibiv.univie.ac.at にアクセスする。
マルチプルシーケンスアラインメント(多重整列)のファイルを指定する。
ここではexampleファイルを選択。
デフォルトはAutoになっているが、シーケンスタイプは指定できる。
右の?をクリックすると上の画像のようにヘルプが展開され、どのような意味を持つパラメータなのか確認できるようになっている。
Substitution Model Options
Branch Support Analysis
IQ-TREE Search Parameters
任意でメールアドレスを指定してSubmitする。
結果はete-treeでviewされるが、テスト時は描画されなかった。
ダウンロード結果。
既にIQ-TREE2も発表(pubmed)されており、condaを使って導入できるバージョンも2になっていますが、2020年6月現在、web版はstable versionの1.6です。注意して下さい。
追記
初めて使う時はこちらのチュートリアルが参考になると思います。
https://github.com/mmatschiner/tutorials/blob/master/ml_phylogeny_inference/README.md#q1
引用
W-IQ-TREE: a fast online phylogenetic tool for maximum likelihood analysis
Jana Trifinopoulos, Lam-Tung Nguyen, Arndt von Haeseler, Bui Quang Minh
Nucleic Acids Research, Volume 44, Issue W1, 8 July 2016